【語注】

(1)大千世界
広大無辺の世界。一つの須彌山、一つの日月、一つの四天下、及び六欲梵世天に至るまでを一世界とし、それを百万個集めた世界。

(2)閻浮提
仏教の世界観で、須彌山の南方にあるとされる島。人間の住む世界。四洲の一で、閻浮樹の茂る島を意味する。諸仏に会い仏法を聴くことができるのはこの洲のみとされる。

(3)離婁
『孟子』離婁篇
孟子曰、離婁之明。公輸子之巧、不以規矩、不能成方員。
(趙氏注)離婁者、古之明目者、蓋以爲黄帝時人也。黄帝亡其玄珠、使離朱索之。離朱即離婁也。能視於百歩之外見秋毫之末。然必須規矩乃成方圓。

(4)鴟鵂
『荘子』秋水篇
鴟鵂夜撮蚤察毫末、晝出瞋目而不見丘山、言殊性也。

(5)井蛙
『荘子』秋水篇
井蛙不可以語於海者、拘於虚也。

(6)曩哲
古哲、すなわち古の哲人、賢人のこと。

(7)章允
明允、すなわち明晰で誠実な人のこと。

(8)夸父
自らの力を過信して太陽を追いかけ死んだという古代の巨人のこと。死に際に投げ棄てた杖が変化してケ林になったという。

『山海經』巻十二「大荒北經」
大荒之中、有山名曰成都載天。有人珥兩黄蛇、把兩黄蛇、名曰夸父。后土生信、信生夸父。夸父不量力、欲追日景、逮之于禺谷。將飲河而不足也、將走大澤、未至、死于此。
『山海經』巻三「海外北經」
夸父與日逐走、入日。渇欲得飲、飲于河渭、河渭不足、北飲大澤。未至、道渇而死。棄其杖、化為ケ林。

(9)班超
後漢の将軍。字は仲升。西域諸国を鎮撫し西域都護になり、定遠侯に封じられた。
(『後漢書』巻四十七)

(10)張騫
前漢の外交使節。字は子文。武帝の建元年間、大月氏に遣わされたが、途中、匈奴に捕囚されること11年、脱走して大月氏に達し、前126年、13年目にして帰国した。その後、イリ地方の烏孫と結ぶために再び西域に派遣され、これより漢と西方諸国との交渉が開けた(〜前114)。
(『漢書』巻六十一)

(11)三蔵
経・律・論の三蔵に通じた者。

(12)法顯
晋の高僧。隆安中、西域に入り、天竺、師子国を経て、およそ15年後に帰国する。
(『魏書』巻百十四)

(13)玄弉
玄奘ともいう。唐の高僧。貞観七年(663)、国禁を犯して無断で玉門関を越え、天竺へ行き、経典を持ち帰った。その功績により罪を許されて、貞観一九年(645)に帰国し、経典翻訳や布教に努めた。
(『舊唐書』巻百九十一)

(14)五天・五印・五竺
五印度、五天竺ともいう。古代インドを東・西・南・北・中の5つに区分した称。

(15)蔥嶺
山脈の名。新疆の西南に位置する。

(16)史記傳
『史記』巻一百十三以降に著す異国についての傳を指すと思われる。

(17)三才圖繪
明の王圻撰。一百六巻。天文、地理、人物、動物、植物、器物、その他種々の物を図解して説明した書。

(18)明一統志
明の英宗の勅を奉じて李賢らが撰した『大明一統志』九十巻。天順五年(1461)成立。明代の中国全土及び、周辺地域の総合的な地理書。

(19)磐公統紀
南宋の咸淳四年(1268)に、明東湖沙門の志磐が撰した『佛祖統紀』五十四巻。
釋迦牟尼佛より宋代に至る中国天台宗の高僧の業績とその足跡を列記したもの。

(20)五竺之圖・五印圖
法隆寺蔵の「五天竺圖」(重懐書写。貞治三年(1364))。現存最古の仏教系世界地図である。

(21)西域記
玄奘口述、弁機奉勅撰『大唐西域記』十二巻のこと。貞観二十年(646)成立。天竺や中央アジアから天竺にわたる、玄奘が求法の旅をし、伝聞した諸国についての旅行見聞録。

(22)補陀山
中国長江(揚子江)河口に浮かぶ舟山諸島の普陀山とも、インドの南海岸にある海島とも想像された、観世音菩薩の住む霊地とされる伝説上の山、補陀洛山(ふだらくせん)のこと。補陀洛とは梵語「Potalaka」の音訳。

(23)南海
@南方の海A南シナ海B南とは春秋時代の楚の地方で、南方、南国の意。また、海は晦(暗い)の意で、中央から遠い南の地方をいう。C秦の始皇帝が今の広東省に置いた南海郡のこと。
・・・・・ここでは、@とした。

(24)竺乾
仏のこと。または、天竺のこと。

(25)蔥右
おそらく、蔥嶺の右(=東)のことと思われる。

(26)廣袤
土地の広さ。広は東西の、袤は南北のひろがり。

(27)交趾
漢代の郡名より今のベトナム北部、トンキン・ハノイ地方。

(28)占城
9c後半〜15c後半のチャンパー国[今のベトナム南部にあったチャム人の国]の中国名。

(29)世儒
@俗世間のくだらない儒学者。A世の儒学者。
・・・・・ここでは@のこと。

(30)須彌
梵語「Sumeru」の音訳で、妙高の意。ここでは須弥山のこと。須弥山とは、太陽がこの山の陰に入れば夜となり、現れると昼になるという海中にある大山。

(31)善財
@功徳を積むこと。また、それを優れた財産とたとえたもの。
A善財童子の略。「華厳経」に説く菩薩の名。生まれた時に室内に自然に財宝が湧き出たことから名づけられた。発心して五十三人の善知識を歴訪し、種々の教えを聴き、最後の普賢菩薩に至って西方阿弥陀仏の浄土に生まれようとした。
・・・・・ここでは、Aのこと。

(32)華藏
@毘盧那仏の蓮華藏世界の略。A阿弥陀仏の極楽浄土である蓮華藏世界の略。
・・・・・ここではAのこと。

(33)帝網
帝釈天[忉利天の主で須彌山の頂の善見城に居り、仏法を擁護する]のいる宮殿を飾っている大きな網のこと。その結び目の一つ一つには光の玉がついていて、重なっている。

(34)世界海
@人や生物の住むところ。
A華厳宗で仏土を2つに分けたうちの1つ。仏の教化が行われる因位[仏となるために修行している位]にある者が拠り所とする所。
・・・・・ここでは@のことか。

(35)頭陀
梵語「dhuta」の音訳で、煩悩を払い去る意。また、僧が托鉢して修行すること、その僧。