機巧図彙・からくり訓蒙鑑草


ここで取り上げる「からくり」とは、精巧に作られた仕掛けにより動く人形や模型、機械装置を指す。からくりは、糸で操られる「糸からくり」と、バネ・ゼンマイ・歯車などによって独自に動く「離れからくり」とに大別される。文楽人形とは異なり、人を驚かす「遊び物」としての要素が強いといえる。

国内でからくりが作られるようになったのは室町時代で、社寺などで見せ物として披露されていた仕掛人形がそれである。その後、安土桃山時代には貴人の玩賞品あるいは献上品としてからくり仕掛けの飾台や盃台が作られるようになる。 鎖国と前後し、舶来の機械時計がもたらされ「大名時計」「和時計」といった国産時計がつくられるようになると、これらの技術が導入され、からくりは大きな発展を遂げる。江戸時代には、からくり人形芝居が大流行し、「竹田からくり」に代表される興行が盛んに行われた。 江戸時代を通じて多くのからくり師が輩出し、からくりが人々の興味の対象となったが、末期には徐々に廃れて行き、明治27年(1894)に浅草で行われた機械活動人形の興行を最後にからくりは興業界から姿を消したとされている。

『からくり訓蒙鑑草』は享保15年(1730)、『機巧図彙』は寛政8年(1796)の成立で、共に江戸時代のからくり指南書である。しかしながら、その内容はそれぞれに特徴的であり興味深い。『からくり訓蒙鑑草』にみられるからくりは興行色が強く、手品的なものも多く含まれる。一方で、『機巧図彙』においては、技術的に優れた機械からくりが紹介されており、一部のからくりが同書を元に復元されるなど、内容の正確さが実証されている。『からくり訓蒙鑑草』は謎解き本に、『機巧図彙』は技術書に近いものであるといえよう。

参考文献:
ものと人間の文化史 からくり、立川昭二、法政大学出版局、1969
遊びの百科全書 人形からくり、立川昭二編、日本ブリタニカ株式会社、1980
図説民芸能−江戸の見世物、古河内三樹、雄山閣出版、1993




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からくり訓蒙鑑草 [ からくりきんもう-かがみぐさ ]




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